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October

本作の題材となったのは、パリ郊外の城に残される装飾写本「ベリー侯のいとも豪華なる時祷書」。15世紀に描かれたこの本を紹介するNHKの8K番組「世界で一番美しい本」(2019年)のために書き下ろした楽曲を収録しています。「世界で一番美しい本」とも讃えられる本に描かれる中世フランスの情景と普遍的な人々の営みにある一片一片を丁寧に紡ぐような音楽の数々が、聴くものの想像力を大らかに掻き立てます。

「ベリー侯のいとも豪華なる時祷書」には中世フランスの12ヶ月の暮らしが描かれています。鮮やかな彩色で描かれる主題だけでなく、人々の息吹が感じられる些細な部分も汲み取ろうと時に大胆なアプローチで表現される旋律が、時空を超えて生きる人々を繋ぐかのよう。マンドリンやピアノの独奏、オルゴール、弦楽四重奏、木管五重奏、オーケストラまで、楽器の表現力を多彩に駆使し、いつの時代にも息づく人間の内面の四季を描き出します。

(阿部海太郎・作曲家)

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