30
November
「世界で一番美しい本」の撮影が許される、という思ってもみなかった夢のような機会。「どうしても、この番組には阿部海太郎さんの音楽がほしい」と直感的に思いついたら、その気持ちが止められなくなりました。撮影に行くより先に、阿部海太郎さんに音楽を依頼しました。もしスケジュール的に難しいなら〈農村のテーマ〉〈祝祭のテーマ〉〈生活のテーマ〉のように3曲だけでも、とお願いするつもりでした。
そうしたら。打合せでの席で、時祷書を原寸大に複写した本のページを前へ後ろへと何度も繰りながら、阿部さんが切り出したのです。「僕からの提案ですが」。え?どんなこと?
「12ヶ月それぞれについて、1曲ずつ書いてはどうでしょうか。22.2チャンネルで音楽を作れる貴重な機会に、試してみたいことがたくさんある」。そうして、このアルバムに収められた宝石のような曲たちが生まれることになりました。
(倉森京子・NHKエデュケーショナル、8K番組「世界で一番美しい本」プロデューサー)